1981年の洋楽 名曲50選!
1981年の洋楽 名曲50選
各1年間で、象徴的な名曲の中から50曲を選出し、紹介していく大企画です。
ジャンルはポップ、ロック、R&B、ヒップホップ、カントリー、レゲエ、ラテン等、
幅広く取り上げていきます。今回は1981年にフォーカス!
それでは、タイムスリップ!
1981年8月1日、この日は音楽業界で革命が起きた日です。
そう、「MTV」がアメリカのケーブルテレビで開局した日です。
24時間、ずっとミュージック・ビデオが流れ続ける夢のようなチャンネル…。
音楽で成功を掴むには、ラジオとコンサート活動というのが常識だった時代、
テレビを通して、自分達をプロモーションをすることが可能になりました。
そして、今流行りの音楽の情報を手に入れるには、ラジオや雑誌が常識だった時代、
視覚的にも情報を手に入れることが可能になり、大衆を映像の世界でも魅了していきました。
日本ではMTVが「MTVジャパン」として視聴できるようになるのが、90年代以降のことでした。
しかし、日本でも洋楽のミュージック・ビデオや最新情報をお届けする番組が1981年に登場しました。
それが、小林克也さんが司会を務める30分間の洋楽専門番組「ベストヒットUSA」です。
1981年4月にテレビ朝日で放送スタート。最新のヒットチャートやミュージック・ビデオを毎週紹介し、
時には、英語が堪能な克也さんが超大物アーティストにインタビューを試みるという番組です。
それが、ポール・マッカートニー、ミック・ジャガー、マドンナ、ライオネル・リッチーなど本当に豪華な面々です。
この番組の影響で、洋楽が日本でお茶の間に浸透したのは間違いなく、洋楽が好きになった方は多いはずです。
1989年に放送を終了しますが、2003年にBS朝日で復活。現在も放送中で、克也さんは80歳を超えても番組で活躍中です。
それでは、1981年の名曲を紹介していきます。
この年に活躍が目立った女性アーティストの名曲をいくつか紹介します。
Olivia Newton-John ''Physical''
この年を最も象徴する名曲と言えば、こちら。全米チャートで10週連続1位というメガヒットを記録しました。
10週連続1位は、1977年にデビー・ブーンが達成して以来の記録でしたが、80年代の中では、最長連続記録となりました。
1982年度の全米年間チャートでも1位を記録、日本のオリコン洋楽チャートでも9週連続1位を記録しました。
この曲を作曲したのが、オーストラリア人のソングライター、スティーヴ・キプナー。
他には、シカゴの「Hard Habit to Break」、クリスティーナ・アギレラの「Genie in a Bottle」も手掛けています。
元々ロッド・スチュワートの様な男性歌手を想定して制作されたものの、最終的に託されたのは、オリビア・ニュートン=ジョンでした。
しかし、この曲の歌詞では、異性に対して肉体関係を求める「ボディトーク」を取り上げた刺激的な内容であり、
実際にこの曲が発表されると、一部の地域では放送禁止になるなど、物議を醸しました。
オリビアと言えば、70年代は清純なカントリー歌手、煌びやかな女優として絶大な人気を博していたので、
今までのイメージを覆すようなこの曲を歌うことに、オリビア自身も当初は拒否していたようです。
過激なイメージを薄め、どんな大衆にも受け入れられる曲にするために、取られた行動がMTVのミュージック・ビデオ戦略でした。
そこでは、カラフルなレオタード姿のオリビアが、肥満体形な男性達のダイエットを指導するというコミカルな内容が採用されました。
当時開発されたばかりのエアロビクスも導入され、エアロビが世界的に認知されるきっかけの1つにもなりました。
オリビアはこの曲の成功で、清純派から健康体なイメージへと転向することに成功しただけでなく、
それが大衆や従来のファンまでも魅了させることに成功したとも言えます。結果、彼女の代表曲となりました。
ちなみに、ギター・ソロはTOTOのスティーヴ・ルカサーが担当しています。
Kim Carnes ''Bette Davis Eyes''
続いては、1960年代から活動し、独特のしゃがれ声が特徴的なキム・カーンズです。
こちらは9週に渡って全米1位を記録、1981年度の年間チャートでも1位を記録するメガヒットとなり、
グラミー賞では、最優秀楽曲賞、最優秀レコード賞の主要2部門を受賞する快挙を成し遂げました。
元々は、キムとは同世代のソングライター、ジャッキー・デルシャノンが作詞作曲を手掛け、
自身が1975年のソロ・アルバムで発表した曲で、こちらは、とても陽気なカントリー・ソングでした。
これを、キム側は冷涼でダークなシンセポップにアレンジし、原曲とは全く異なる曲調に仕上げました。
曲名のベティ・デイヴィスとは、1930年代から活躍し、アカデミー賞主演女優賞を2回受賞した経歴もある大物女優です。
日本でも、当時、ホンダのスクーターのCMでこの曲が起用され、注目を集めました。
Joan Jett and the Blackhearts ''I Love Rock 'n Roll''
1970年代に活躍し、特に日本では社会現象並に爆発的な人気があった元祖ガールズ・ロック・バンド、ザ・ランナウェイズ。
その創立メンバーで、リズム・ギターを担当していたのが、ジョーン・ジェットです。
ザ・ランナウェイズ解散後、彼女は男性ミュージシャン達と手を組み、ザ・ブラックハーツを結成しました。
そして1981年に発表されたのが、今やR&R最強の名曲とも言える、このナンバーでした。
全米チャートで7週連続1位を記録し、1982年度の年間チャートでは、3位を記録する大ヒットとなりました。
この曲は実はカバーで、イギリスのロックバンド、アロウズが1975年に発表した楽曲が原曲です。
ジョーンは、ザ・ランナウェイズの時代からこの原曲をとても気に入っていて、
1979年には、セックス・ピストルズのメンバーと共にその曲をレコーディングし、シングルのB面で発表しました。
そして、ザ・ブラックハーツと共に再レコーティングに挑戦して発表したところ、予想外の大ヒットとなったわけです。
日本でもCMやテレビ番組のBGM等で、よく取り上げられるので、聴いたことがある人は多いと思います。
2002年には、ブリトニー・スピアーズがカバーしたことで、再び脚光を集めました。
The Go-go's ''We Got The Beat''
1980年代初頭に絶大な人気を博したアメリカのガールズ・ロック・バンド、ゴーゴーズです。
後にソロ活動でも成功を収めるベリンダ・カーライルがヴォーカルを務めるバンドとしても知られています。
ランナウェイズにも当てはまりますが、当時は女性のみでR&Rバンドを結成することが、まだ珍しかった時代でした。
そんな中、ゴーゴーズは、アメリカで大きな成功を掴んだ最初のガールズ・ロック・バンドと言えます。
この曲は、エネルギッシュな演奏とベリンダのキュートな歌声が魅力的なパンク・ロック・ナンバーです。
1980年に録音して1981年に発表したヴァージョンと、1981年に再録音して1982年の年明けに発表したヴァージョンの2種類あり、
その再録音版が、3週間に渡って全米2位を記録しています。その間に1位を独占していたのは、前の「I Love Rock 'n Roll」でした。
この曲が収録されたアルバム「Beauty and the Beat」は、全米チャートで6週連続1位を記録する快挙を成し遂げました。
Kim Wylde ''Kids in America''
続いてはイギリス出身の女性歌手、キム・ワイルドの全英2位を記録したヒット曲です。
キムの父親は1950年代に数多くのヒット曲を世に送り、大英帝国勲章も授与されたR&R歌手、マーティー・ワイルド。
そして、キムの弟は、70年代から子役として活動し、主にソングライターとして活動しているリッキー・ワイルド。
この曲は、その2人が作詞・作曲を手掛けており、リッキーがプロデュースを務めています。
というより、キムの今までの多くの曲でこの2人が携わっており、まさに家族経営の中でキムは活動しています。
この曲は、当時流行していたニュー・ウェイヴの流れを汲み取り、シンセを基調にしたパンクロックに仕上がっています。
演奏は、70年代から活動するイギリスのシンフォニック・ロックバンド、エニドが手掛けています。
「私達はアメリカのキッズなのよ!」とイギリス人のキムが熱唱している点が面白いです。
Juice Newton ''Angel of the Morning''
アメリカ出身のカントリー歌手、ジュース・ニュートンのカバー・ヒット曲です。
原曲は、1967年に女性歌手のイーヴィ・サンズが発表したヴァージョンで、
オリビア・ニュートン=ジョン等、様々なアーティストによってカバーされました。
しかし、世界的に一番知られているヴァージョンが、このジュース・ニュートンのカバーです。
全米4位を記録し、カナダや豪州では1位を記録するなど、ポップシーンでも人気を博した名バラードです。
Stevie Nicks, Tom Petty & the Heartbreakers ''Stop Draggin' My Heart Around''
続いては、フリートウッド・マックのメンバーとしても知られる、スティーヴィー・ニックスです。
現代でも人気の高い1977年の名曲「Dreams」での魅力的な歌声で知られ、ロック界の歌姫とも称されています。
この年にソロ・デビューを果たし、アルバム「Bella Donna」は、見事全米1位を記録しました。
その中から、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとコラボを果たした名曲を紹介。
トム・ペティ側が作曲したこの曲を、親友のスティーヴィーが気に入り、共演が実現。
全米で6週連続3位を記録し、チャート上では両者共に最大の成功を収めました。
Stevie Nicks & Don Henley ''Lether And Lace''
続いても、スティーヴィー・ニックスと大物男性アーティストとのコラボ曲を紹介。
当時、解散状態にあったイーグルスのリーダー、ドン・ヘンリーとの共演です。
元々、スティーヴィー自身が別の夫婦アーティストのために作曲したナンバーでしたが、
自身が歌うことになり、共演相手にドン・ヘンリーが選ばれました。
この曲は、3週に渡って全米6位を記録しています。